明治安田生命保険相互会社 新潟支社2024.02.15
「健康」と「地域」を柱に、
保険の価値を拡大する。
生命保険は万一の時に自身や家族を守り支え、保障してくれる仕組みだ。国内有数の生命保険会社である明治安田生命は、従来の生命保険会社としての役割を超えて、「万一の保障」以上の価値を提供すべく進化を続けている。
「新潟市内はあまり雪が降らないと聞いていたんですが、降りますね」そう笑いながら話す古賀支社長は、新潟に赴任して2年。初めての土地である新潟の「健康寿命の延伸」・「地方創生の推進」に向けて取り組んでいることや、自身が大切にしている仕事への思いを伺った。
古賀 生治(こが たかはる)1974年生まれ。福岡県出身。大学卒業後「困っている人の役に立ちたい」という思いをきっかけに明治生命に入社する。熊本県、福岡県、東京都で経験を積み、2022年に新潟支社長に就任。2023年の大雪では、大人になって初めて長靴を購入した。週3のペースで行うランニングで体重を維持しながら、新潟の食と日本酒を楽しむ。
日本で一番古くて一番新しい保険会社。
明治安田生命の企業理念や沿革について教えてください。
当社は明治安田フィロソフィーとして、「確かな安心を、いつまでも」という経営理念のもと、「信頼を得て選ばれ続ける、人に一番やさしい生命保険会社」を企業ビジョンに掲げ、我々従業員が大切にする価値観を「明治安田バリュー」と設定し取り組んでいます。
当社は「日本国内で一番古くて一番新しい生命保険会社」と言われています。前身となる明治生命と安田生命がそれぞれ1881年に創業しまして、2004年に両社が統合し「明治安田生命」として新たに発足しました。2024年は発足から20周年にあたります。そこから“古いけど新しい保険会社”ということで営業を開始したんですが、実は会社が発足した直後の2005年に、保険金の不払い問題で業務停止命令を2回受けました。
私たちはこの件を真摯に受け止め、なぜこのような問題が起きたのかを明らかにし、今後同じようなことを決して起こさないための仕組みづくりを徹底しました。そしてもう一度、改めてお客様志向という経営に生まれ変わって、原点からの再スタートという気持ちで取り組んでいます。
明治安田生命の業務について教えてください。
弊社は生命保険商品の販売とそれに付随するサービス、給付金の支払いまでを担当者を通じワンストップで提供しています。生命保険って普段は使わないものです。必要になる時は、基本的に不幸が起きた時とか困った時なので、中々必要性を感じていただきにくい商品です。
元々、生命保険は一家の大黒柱の方が事故や病気で亡くなった時に、残された家族を支えるために『相互扶助の精神』からできたものです。それが時代の変遷とともに「生きるための保険」、つまり自分が健康でなくなった時に受け取る医療保険ですね。がんとか三大成人病とか怪我とか、そういった時の自分の体を治す保険。それから「老後を生きるための保険」ですね。人生100年時代とも言われている、老後の資金を蓄えるための年金とか、そういったものが生命保険の中にはあります。
時代の変化に伴い、保険の商品も変化してきているということでしょうか。
その通りです。弊社では更に進化した「ベストスタイル」という商品を取り扱っておりまして、「最適な保障と最新の保障を提供する」というコンセプトの保険です。一番の特徴は、診療報酬の負担割合に応じて給付金をお支払いする点ですね。
もう一つの特徴は、年に一度、健康診断の結果を提出いただいて、その結果に基づいて「健活レポート」という、健康増進に役立つ情報やアドバイスを提供しています。お客様がご自分の健康を意識されるようになるので、その後の健康診断で数値が改善したケースなどがデータとして現れています。
これは「保険商品を通じてお客様に健康になっていただく」という当社の思想を体現した商品なのかなと思います。保険商品の中には、“健康な人だったらこの商品、健康じゃない人はこの商品”って選ぶものもありますが、その健康って加入時点の事でしかないので、そうではなくて、ずっと意識して健康に暮らしていただくことが大切なんです。一人で続けるのは大変だと思うので、私たちが寄り添うことで一緒に健康になっていただきたいですね。
保険を通して「健康」が「地域」に拡がる。
企業としての取り組みである「2『大』プロジェクト」について教えてください。
弊社は、2030年までに明治安田生命が目指す姿を、『ひとに健康を、まちに元気を。』最も身近なリーディング生保へ」と定めて取り組んでいます。その中で大事にしている価値が2つありまして、一つは「地域社会のお客様に最も支持される生命保険会社でいよう」という社会的価値。もう一つが「100年先も続く安定した経営をベースに国内トップクラスと評価されるような生命保険会社でいよう」という経済的価値です。
現在、取り組みとして「2『大』プロジェクト」が進行中ですが、その内の一つが「みんなの健活プロジェクト」です。こちらはお客様の健康増進を応援して、健康寿命を延ばすことに貢献するというもの。もう一つは「地元の元気プロジェクト」。こちらは地域課題の解決に寄与して、豊かな地域づくりに貢献するというものです。この2つを柱として取り組んでいます。
「生命保険」と「健康増進」って、意外な組み合わせに感じます。
ご加入いただいた方が、日常や健康を取り戻した後もずっと健康でいていただきたい。そのために私たちは、保険の役割を拡大するというか、超えていく必要があると考えています。
保険の役割は万一の時に保障してくれるだけじゃなくて、「毎日の健康な生活」をお届けするところまで拡大したいということです。保険にご加入いただくことによって、健康状態を知って意識する、行動が変わって健康になる、それが皆さんの幸せに繋がると思います。また、保険の価値の届け先を、個人から「地域」まで拡げることで、健康が地域と緊密に拡大していってほしいですね。
「地域」というキーワードが出ましたが、新潟支社でも何か取り組みをされているのでしょうか。
健康というキーワードでの取り組みは、全国105支社、1100拠点ほどの営業店でそれぞれで行っています。新潟支社では病気の予防や治療に役立つ「医療セミナー」、笑って免疫力を高める「お笑いイベント」、職場で健康チェックができるイベントなどを定期的に開催させていただいてます。
新潟という地域に根ざした取り組みとしては、新潟県とアルビレックス新潟、そして弊社の3社で連携協定を結んでおりまして、様々な活動をさせていただいています。その他にも7自治体と健康づくりに関する連携協定を結んでいます。社会貢献と地元に貢献するという意味で、地域の皆様の健康づくり・子どもの健全な育成に寄与していただきたく、「私の地元応援募金」というものを開催し募金をさせていただいてます。
また、多くの方から「新潟では若者が進学や就職で県外に流出して戻ってこない」とお話しを伺いますが、私たちとしても、若者の県外流出をきっかけとした人口減少を防止するために、何かしたいと思いました。そこで新潟の企業さんとお子さんが職業体験を通してふれあう「こどもシゴト博」というイベントを、新潟市と加茂市で開催しました。「新潟ってこんなに素晴らしいところなんだ」「元気な場所なんだ」ということを、子どもの頃からちゃんと知ってもらうことが大事だと思って。
このイベントに参加したお子さんが、将来就職活動をする際に、「そういえば子どもの時、新潟の企業の職業体験したな」って思い出してくれるかもしれません。そこから「じゃあ地元新潟の企業も受けてみようかな」って、選択肢の一つとしてくれると嬉しいですね。新潟に戻ってくるきっかけになればいいかなと思っています。
一般的にイメージする保険会社さんのお仕事とは違う取り組みにも思えますが、社員の方々に変化はありましたか?
生命保険というのは『相互扶助の精神』でできているので、少額の掛け金でいざという時に高額な保険金を受け取って、家庭を支えて幸せな生活を送り続けていく、という思想を基に成り立っています。生命保険の仕組みって、地元に対する貢献だとか、人に対する感謝が大事なんだなって思いますし、弊社の社員も地元のイベントに積極的に参加して、お客様から「来て良かった」とか「ありがとう」と言っていただいています。そうやって信頼関係が醸成されてきているので、みんな積極的に取り組んでくれています。
人の上に立つ場所から見えた景色。
何度か転勤を経験されていますが、新潟の第一印象はどのような感じでしたか。
私は出身が福岡なので、実は新潟に来る前は、お米と、雪が降るのと、日本酒くらいしか知らなかったんです。実際に来てみて驚いたのは、枝豆をはじめとした野菜やフルーツ・魚・肉・お酒など食の美味しさですね。それから土地が広大で、ガス田も油田も離島も、全てのものが揃っているなと思いました。県の形もそうですが、「日本の縮図みたい」というのが私の第一印象です。
あとは外から来た人を受け入れてくれる体制があるんだと思いました。閉鎖的でないというのがすごく強い印象です。我々のような社員は、任期を終えるとまた他の土地に転勤していくんですけど、地元の方々は「新潟を好きになって、別の場所で新潟のことを色々アピールしてよ」って言ってくださるんですよ。
福岡での子どもの頃はどのように過ごされていましたか。将来の夢や、なりたい職業などはありましたか。
地元は福岡県なんですけど、すごい田舎の方なんです。周りは田んぼで裏は山、コンビニもないようなところで育ちましたので、子どもの頃はずっと外で遊んだりして過ごしていました。
将来の夢というか、私の実家は植木の生産流通業をしているんですよ。父親が三代目で私は長男なので、漠然とですが実家の仕事を継ぐものと思っていました。そんな背景もあって、大学は華やかさを求めて福岡市の学校に進学したんですが、在学中に私の弟が「実家の仕事を継ぎたい」との考えがあるようだったので、だったら私はもう地元を出てもいいかなと考えました。
家業を継がないとなった時に、なぜ保険会社を選ばれたのでしょう。
いろんな業種を回らせていただいたんですけど、その中で「人が本当に一番辛い時に助けられる仕事って何だろう」と考えたら保険に行き着いたんです。健康やご家族を失った方の将来を確保し、支えてあげられると思いましたし、生命保険の思想や相互扶助の精神にもすごく共感したので、最終的に生命保険会社を志望しました。
業務に当たられる中で、ご自身の仕事のやり方や取り組み方に、変化を与えたターニングポイントなどはございましたか。
今のように部下を持つ立場から言うと、31歳の時に福岡で営業所長職をやった時が一番のターニングポイントだったと思います。それまでは目の前の業務をこなすことが仕事だと思っていたんですけど、部下の上に立つ役職に就いたとき、漫然と日々の業務をこなすだけじゃダメなんだってことに気づかされました。
当時、営業を担当する職員は20 ~65歳までの世代の人たちがいて、家庭環境もバラバラなので、沢山稼がないといけない人もいれば、ストレスなく仕事ができればいいという考えの人もいました。働く目的もバラバラだから、普通に指導をしても何も成果が出なかったんです。部下の上に立つからには、一人ひとりの働く目的をちゃんと達成させてあげないと、生活を守ってあげられないので、考えを改める必要を感じました。
その頃から仕事の目的とか、この仕事のゴールは何だろうってよく考えるようになったので、今ではそこが自分の仕事をする上でのスタンスというか、部下に対する接し方とかを含めて、一番大きく変わった時期だったと思います。
人事部の経験もされたそうですが、印象的なエピソードや経験が生きたと感じる場面などはございますか。
ターニングポイントの話を拡大したような内容ですが、私が担当したのは総合職の人事でした。その中で印象的だったのは、とにかく様々な価値観とバックボーンをもつ人たちがいるということです。最近は多様性って言われますけど、そういった方たちの集合体が組織であり会社なので、全ての層の人たちが「どうしたらやる気をもって仕事をしていくのか」っていうのを、人事政策としてよく考えていました。
人事政策を議論する中でよく感じたのは、世代間のギャップです。各世代によって、考え方も目指すものも違っています。「管理職になって部下を持って、もっと大きい仕事をする」という、我々やそれ以上の世代が当たり前と思っていた将来像や価値観が、今の若者にはなかったりします。話を聞くと「そういうことよりもスペシャリティを目指したい」とか、色々な価値観があることがわかりました。
結局は一人ひとりの働く目的であるとか、価値観をよくヒヤリングした上で指導したり、マネジメントすることが大事なんだということを、人事の仕事をする中で学びました。
それは多くの企業が抱えている課題だと思います。古賀さんは人事担当として具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか。
人事をしていた当時は「価値観」をポイントとしていました。将来、マネジャーになりたいのか、プレイヤーでいたいのかが選べて、専門職とマネジメントで格差を付けない、デュアルラダーといったシステムの構築や、それに伴うプロモーションをしなければいけないと考えました。
ただその考え方も、様々な経験をすると人ってやっぱり変わっていくんですよね。専門職を目指していたけど、やっぱりマネジメントの方に行きたいとか。これから先の時代、そうなっても柔軟に働ける環境というところが必要になってくるかもしれません。なので硬直化した人事運用とかそういった習慣は、人の可能性も消すし成長も止めてしまうと思います。人の可能性や成長を広げていくという観点から、いろいろ考えないといけないというところも大きな課題でした。
仕事の成果は「習慣化」で決まる。
新潟支社に赴任されて2年間、仕事の成果への手応えや変化などはありましたか。
新潟に着任してからずっと同じことを言い続けているんですが、私は仕事の成果は『能力×やる気×習慣』の法則で生まれると考えています。
まず「能力」ですが、知識をただインプットするだけではダメなんです。インプットしたことを実践して、初めて能力になると思うので、その訓練をずっとやり続けること。次に「やる気」、やる気ってある時は素晴らしい推進力になりますが、全く出ない時があったりとブレがありますよね。なので、ブレがなく一定の成果を出すために重要なのが「習慣」なんです。その日の成果を、やる気によって左右させないためには、仕事を習慣化することが大事だと思います。例えばインプットしたら必ずその日のうちに実践するとか。その時々に気合いを入れて「よしやるぞ」じゃなくて、実践することが普通という習慣にしてしまえば、おのずと成果が生まれると思います。新潟に来てからはとにかく力を入れてずっと取り組んでます。
新しい習慣にするって難しいと思いますが、社内ではどのように取り組まれましたか。
確かに私一人では当然できないので、部長や営業所長、幹部の支部マネジャーにも同じことを言ってもらって、繰り返し繰り返し、双方向で教育を行っています。なので、職員も正直飽きてきてると思います。ただ人間って1日経ったら75%近くの物事を忘れてしまうと言われています。「また同じこと言ってるよ」と言われて、やっと習慣化したのかなと思うので、これからも言い続けようと思っています。
これは自身の体験談ですが、私は週に3日は朝ランニングをしています。「生活習慣病を予防しないといけない」と、部下にもお客様にも言っている手前、体重を維持するために始めたんですが、元々走ることが好きなわけではなかったので、最初の頃はもう走ることが嫌でした。それでもどうにかして、走らないといけない状態を作ろうと思って、2日に一度はランニングウェアを着た格好で寝て、そして朝起きたらそのまま走りに行くということを続けたんです。習慣化ってほんと難しいと思いますが、苦手なことでも続ける仕組みをつくることが重要で、私の朝ランニングはもう5年以上続いています。
「座右の銘」や「人生を楽しむためのキーワード」はお持ちでしょうか。
座右の銘は「即断即決即実行」です。時間は有限なので、やりたいと思ったらとにかくやってみます。間違ってもやり直せば良いだけですから、そうやって何事も早くやるということが全ての解決に繋がるんじゃないかと思っています。
あと、「決めたことを徹底的にやり通す」ということが、プライベートでも仕事でも大事だと思っています。やると決めたら途中でやめるのが嫌いなんですよ。途中でやめるんだったら、初めからやらない方がいいと思っているくらいです。遊びも仕事も、やると決めたことはとにかく、何かしらの成果か結果が出るまでは続けないと嫌ですね。そこが人生を楽しくしていくために心がけているところです。
学生や若手の社会人の方に、メッセージをお願いします。
若い頃には考えなかったことですが、現在の私のように部下や従業員の上に立つ立場になったときに、仕事のスキームというか仕組みを作ってあげることと、従業員達のハートに火をつけるのがリーダーの仕事なのかなと思います。
従業員のハートに火をつけられるのって、リーダーしかいないと思うんですよ。それが社内的には大事なんです。
社外的には、例えば新潟であれば、地域貢献をやらないといけない、地元のために何かやらないといけないって誰でも思うんですけど、そこに火を起こすのがリーダーの仕事だと思っています。そうやってつけた火を燃やして、それをもっと大きな大火にして、消されないような大きなものにしていくことが、リーダーの仕事なのかなと思っています。
若い方によく言ってるのは、自分の仕事のミッションや、やりたいことは何なのかをきちんと考えることです。まず最初に自分のビジョンを決めて、そのために仕事の目的をちゃんと定めて、その目的を達成するために目標を設定し、その目標を実現するための具体的・効率的・効果的な手段を決めたら、即実行してやり続けるということが大事なんだと。
途中で「この仕事は自分に合ってない」とか、「私の希望した仕事じゃない」といって諦めてしまう人もいますが、そういう人は、他の場所でも同じことでつまずきます。まずは目の前の仕事に、とにかく愚直に取り組んでみることが大前提ですね。
その上で大事にしてほしいのは、「立場や状況が変わっても謙虚な気持ちを忘れない」「周りを巻き込む」「三遊間の仕事を積極的に拾いに行く」。これらを大事にしてほしいと思います。
最近はチャットGPTや生成AIが流行っていますが、今後はそれらに任せる仕事も多くなると思います。これからの時代、若い方には「人と違う発想」ができることが強みになっていくと思うので、そういった部分にも目を向けて成長していっていただきたいなと思います。
インタビュー:2023年12月
Information
明治安田生命保険相互会社日本で初めての保険会社として1881年(明治14年)に設立。前身である「明治生命」と「安田生命」が2004年に合併して現在の名称となった。2024年1月、合併20周年を迎えるにあたり、生命保険業の役割を大きく超えて「健康寿命の延伸」・「地方創生の推進」に注力して取り組んでいくことを発表。これからも「日本で一番古くて一番新しい保険会社」として挑戦を続ける。
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