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column 31

株式会社オーシャンシステム2024.05.15

「食」を通じ、一人ひとりに心の満足と豊かさを届ける。

「ひぐち弁当」として総菜とお弁当の配達からスタートした「株式会社オーシャンシステム」。「食」を通じて時代の変化と共に、地域のニーズに合わせた様々な事業展開に取り組んできました。デジタルトランスフォーメーション(DX)を駆使した「オムニチャネル構想」や、キャッシュレス決済システム「OMペイ」の導入等、常に新しいビジネスモデルへの挑戦を続けています。経営の根底として樋口社長が常に大切にしている「世のため、人のため」について、思いを話していただきました。

樋口 勝人(ひぐち まさと)1975年生まれ。新潟市出身。栄養学を学び料理人の道を経て、職人の道へ。結婚を機に1999年株式会社オーシャンシステムに入社。株式会社オーシャンシステムが50周年を迎えた2013年に代表取締役に就任。常に「お客様のため」「世の中のため」を考え、新しいビジネスアイディアを模索し挑戦し続けている。

時代のニーズに合わせ、地域の「食」を支える

オーシャンシステムの沿革についてご紹介ください。

1963年に「ひぐち弁当」という名前で、三条で創業しました。店舗で総菜を作って販売し、近隣の個人のお宅に総菜を配達することから始まりました。しかし、店舗に行けず困っているお客様が居ると聞き、その方たちのために惣菜とご飯を組み合わせたお弁当を、個人のお宅や企業に配っていたそうです。

今で言う宅配システムの始まりみたいですね。その後はどのような事業拡大をされたのでしょう。

そうですね。「ひぐち弁当」が少しずつ食品会社らしくなり、1977年「株式会社ひぐち食品」に生まれ変わりました。
1978年から「ヨシケイ開発株式会社」に加盟し、総菜とご飯のセットから本格的に個人のお宅への食材配達と事業を拡大しました。その後、食堂ビジネス「米どころん食堂」をスタートしたことで、お弁当、夕食材料、社員食堂、この3つの部門で高度成長期を生き抜いてきました。
バブルが終わった頃っていうのは、デフレ傾向にあって、その頃に「いいものをより安く」を理念とした「チャレンジャー」が誕生しました。2001年に業務スーパーが誕生して、その翌年に、神戸物産からエリア権を獲得して「業務スーパー」を開始しました。お弁当の「フレッシュランチ39」、夕食食材「ヨシケイ」、宿泊・飲食業の「寺泊 日本海」、スーパーマーケット「チャレンジャー」、「業務スーパー」の5つの業態を軸に事業を展開して、約350億円の企業として2008年に上場しました。これがオーシャンシステムの始まりから上場までの歴史になります。

その後、上場してからも様々な事業を手がけて、2009年には千葉に総菜工場を設立。関東近郊のコンビニとスーパー、駅構内の店舗などに、総菜や弁当の出荷を始めました。その4年後の2013年に私が代表権を取得し、オムニチャネル構想をスタートさせました。

オムニチャンネル構想とはどのような内容でしょうか。

お弁当、夕食食材、スーパーマーケット、宿泊・飲食、社員食堂、業務スーパー、ベンダー工場など、それぞれ違うビジネスモデルでやって来た業態を、2013年に1つにまとめることを目指すというのがオムニチャネル構想です。
オムニチャネルの「オムニ」っていうのは、各事業の垣根を取りたいっていう意味なんです。私が代表に就任した2013年というのは、オーシャンシステムの50周年記念でした。その年に、取引していただいてるお客様1,000名を朱鷺メッセに招待して、お客様の前で話した内容の一つがこのオムニチャネル構想だったんです。

その中の一つ、チャレンジャーで導入されている「OMペイ」について教えてください。

ちょうど2018年の暮れぐらいに、皆さんご存じの「コード決済」が普及し始めました。それと同時に、ようやく2014年に作っておいたキャッシュレスの仕組み「OMペイ」を、翌年の2019年にチャレンジャー店舗内において一斉にスタートしたのが始まりです。
その後、4年間経過して、会員数が今4万人ぐらいまで増えました。OMペイ利用者のメリットとしては、全商品2%引きなので、現金で買うよりもお安く購入いただけます。

その値引きは、ポイントの還元ではなく現金からですか?

現金値引きです。まとめて買った商品全部に対して2%値引きをかけるというのがOMペイの仕組みです。

先を見据えて開発したものが、ようやく日の目を見たという感じですね。

2013年に「垣根のないオーシャンを作ろう」という目標から始まった「オムニチャネル構想」は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が広がりはじめた2020年以降、「オムニオーシャンDX構想」として再スタートしました。事業間の垣根を取り、DXを取り入れることでネットとリアルの融合を目指す考えです。コロナ禍の時期に、名称が長かったので「オーシャンDX構想」に切り替えました。
その時に「DXだから、もっとDX感を、OMペイ以外にも出さなきゃいけない」って思ったんです。

コロナ禍で「オーシャンDX構想」のアイディアが更に生まれたのでしょうか。

コロナ禍の外食業界は、当然食事をしに店舗へ来てくれるお客様が減っている状況でした。私は経営者なので、外食の状況を知るため、お客様である外食店舗のオーナーさんのところに足を運ぶのですが、その際にオーナーさんから「誰も来なくて、自慢の料理がみんなに紹介できない」という声を聞きました。
私も元々は料理屋からスタートしているので、その「自慢の料理を食べてもらいたい」という料理人の気持ちがよくわかります。うちの会社としてなんとか紹介したいという思いがあり、そこでDXを駆使して立ち上げたのがECサイト「オーシャン商店街」です。このサイトでは、ネット上にお店を作ることができます。コロナ禍により、リアルな店舗で集客ができなくなっても、ネット上に自慢の料理を並べること、自慢の商品をお届けすることができます。ここ2年くらいで、130店舗ほど出展者が集まってくださいました。

経験を積むことで視野は広がる

時代の流れとか、人々の考え方とか、「お客様目線」を背景にしながら、新しい構想や事業の準備等をされていた。

そうですね。基本的には「世のため人のため」ということが私のビジネスの考え方の根底にあります。なので、目標よりも目的を意識して商売しているんです。よく従業員に言うのが、「目標を意識したら、目標以上にはならない」ということです。理由は、目標を達成してしまったら満足感に浸ってしまうから。だから、成長し続けるには、届きそうで届かない夢やビジョンを持ち続けること。基本的には「目標よりも目的」を持つことが成長し続けるために大切だと思っています。イメージというのは果てしない考えができるんです。視野を広くすると、自分の周辺のことだけではなく、他の人のことも見えてきます。つまりそれが「お客様のため」になり、「世の中のため人のため」に繋がると考えているんです。

視野を広くもつことが結果的に世の中のためになるんですね。

私たちの理念は、お客様一人ひとりに心の満足と豊かさをお届けすることです。
お客様一人ひとりに、心の栄養と食の栄養を与えることが、世のため人のため貢献できることだと思っています。やっぱり最後は紐づくんです。これを経営者やリーダーが常に思っていれば、従業員が迷ったり、悩んだときの指標になると思います。

理想のリーダー像とは具体的にどのような姿をイメージしますか。

リーダーというのは現状に満足せず、常に前を向かなきゃいけないんですよね。例えば、うちのチャレンジャーに買い物に来ていただいているお客様に、お店の満足度を伺ったとします。既に来店していただいているお客様は、満足していただいているから来店しているので、恐らく良い評価が返ってくると思います。なので、本当の評価を知るためには、店の外に目を向けることが必要になります。リーダー自ら外に出ることが大切です。
また、日々業務をこなしていく中で、部下からの悩みが必ず出てきますよね。その社内の業務を山登りに例えるとします。山の頂上へ登ることを目的として自分で山を登った人と、楽な手段を選んだ人がいて、実際に苦労して登った経験がある人は、部下にも登れる道を示すことが出来るんですよね。でも、楽をして登った人は部下に登り方を示せないから、登り方がわからない部下が疲労することになってしまうんです。要するに、リーダーは常に人のためを考えて、まず自分で動いて様々な経験を積む。そして、部下や周りの人に自分の姿を示し、周りに良い影響をもたらせることが重要ではないでしょうか。良い影響というものは巡っていくので、結局それがまた「世の中のため」に繋がってくると思います。

一人で進むのではなく、周りを見渡す視野が必要なのですね。

そうですね。どうしてこの考えに行き着いたかというと、私が若い頃は、周りに頼らず一人で仕事をするタイプだったんです。例えば、お弁当であれば一人で営業して、作ってお届けして代金をいただくまで、一人で完結することができました。でも会社は組織ですよね。これは私の経験から感じたことですが、一人で突き進むとどうなるかというと、人が離れていってしまうんです。一人でどんどん進むほど後ろを振り向かないので、立ち止まったときに孤独になっている。振り返ったら人が誰もいない状況です。でも、もっとビジネスを拡大したいときに、自分一人の力よりも他の人にサポートしてもらった方が、1よりも2、2よりも3が良いわけですよ。そして、結果的に今度は振り向くことを学ぶわけです。一人で突き進むと人は離れていき、一人の売り上げも限界がある。来た道をもう1回戻って、別の人の手を引き連れ、また前に進む。そうすると、先ほどの山登りと一緒で、また戻って二人連れて行けば三人の道ができてくるわけですよ。行くと更に障害が出る。まずリーダーが「俺が行ってみるわ」と進む。問題ないか確認して、また戻るっていうのを繰り返していくと、道が広がって通行量が増えていくわけです。これが多分、ビジネスの基本だと自分は思っています。

それはまさしく経験を踏まえながら、現在も体現されている感じですか。

そうです。これを伝えるのはなかなか難しいんですけど、基本としては興味を持って自分で経験することが大事でしょうね。経験をするから痛みがわかる。痛みがわかるから、部下にも指示を出せるということだと思うんです。
ただ、経験というのは良い部分も悪い部分もあって、人間は不思議なもので、経験から「自分のお城」を作ってしまうんです。自分のお城で日々同じことの繰り返しで、同じように出勤して、同じように仕事をこなして、同じ時間に帰るというのは楽なわけですよね。そして、自分のお城を守ろうとする。ただ、それは個人だけのためになってしまって、組織が活性化されなくなってしまう。保身的な組織になってしまいます。恐らく、部下の新しいアイデア等の意見を通すことで、自分の城を明け渡すことになってしまうと考えているんですね。でも実際はその逆で、経営者としては、既存のビジネスの枠を超えた新しいビジネスモデルのアイデアを常に求めているんです。

日々、新しいビジネスパターンを模索されている感じですか?

要するに、経営者は常に違うことや新しいことを考えているんです。
なので、その「自分のお城」から離れて、外に目を向けている、外に出ている人がいると、経営者として指示を出したりコミュニケーションを取ったりすることが出来ます。なので「自分の城」から外に出ることは、上司からの評価にも繋がってくるんです。
まだ外に出て行くことに慣れてない人もたくさんいるので、もっと積極的に自分のしたいことが出来るような企業を作っていきたい。とにかく、一歩外に出て挑戦することによって、自分の評価も上がるし、世の中に貢献できる確率も上がる。自分の部屋の中にいたら世の中の事が分からないよ、ということを事業を通じて伝えていきたいんです。

その社長の思いや考えは、既に従業員に伝えていますか?

はい、「目標よりも目的を持つこと」の重要性の話をしています。
あと、日々伝えているビジネスっていうのは、「自分の考えで切り開く力を付けること」それが結果として「人を幸せにすること」っていうことを、とにかくみんなに伝えていますね。
ただこれを言葉だけで伝えるのはとても難しいことなんです。
それは、自分の考えを優先することと、人を幸せにするということは、一見すると矛盾を感じてしまうと思うので。言葉で伝えるのは非常に難しいのですが、日々従業員とはコミュニケーションを取って思いを伝えています。

「背中で見せる」を教えてくれた祖母の存在

社長はオーシャンシステムの何代目ですか?創業者はどなたですか?

私で4代目です。創業はおばあちゃんでしたね。おばあちゃんはものすごく、見た目が華やかな人でした。

当時、お祖母さんのお弁当や宅配とかの事業を見て、どんな風に感じていましたか?そして、会社がどんどん大きくなって、自分が後継ぐのかなとか。

全く思ってなかったですね。でも、幼稚園の文集を見ると、「お弁当屋さんになる」っていう文章が残っているんですよ。でも、小学校から高校生までずっとその意識はなかったですね。ただ、私は食事が好きで「食」に興味があったので、シンプルに食にまつわる仕事がしたい気持ちがあって、その後は栄養士学校に入りました。学校で培った栄養の知識と調理の知識を活かせる職に就きたい気持ちで、卒業後は料理の世界に飛び込みました。
料理の世界に入ってから25歳くらいの時期に結婚を考え、それをきっかけにオーシャンシステムの存在がおぼろげながら出てきたんです。職人の世界でお金を稼いでいくためにどうすればいいかを悩んでいたときに、自分の家のお弁当屋のことを思い出して。そのときに初めて相談をしました。

結婚を機に選択肢が色々出てきたっていうことですね。

そうですね。選択肢が出てきました。ただ、私はおばあちゃんの長男や次男の子供ではないので、家業を継ぐ王道の流れではないこともあって、当時はあまり継ぐといったことに意識がなかったように感じます。おじさんの子供たちもオーシャンシステムで働いていましたから。

意識してないから、良かったということもあったのではないでしょうか。

逆にそうですね。元々レールに乗ろうというより、「俺は俺の道でいくんさ」という気持ちが強いですから。自分の道、考え方で進んできた結果、売り上げや利益が以前より良くなりました。そして、自分の考える道と、今まで先代たちが作ってきた道の融合が出来れば更に道が大きくなりますよね。この考え方が私の子供や、従業員たちに根付いていけば、自ら考えて行動できる人材が増えて、道がどんどん広がっていくことが出来る。
先ほどの話でも言いましたが、やはり要は自分の考えを持って自発的に行動しようということなんです。その考えるきっかけがある状況というのも大事なので、きっかけを逃さないためにも今日やるべきことをしっかりやっていくことも大切になりますね。

チャレンジすることが人生を輝かせる

これから就職活動を始める方や、学生さんといった若い人たちへのメッセージ、経験を通したアドバイスをお願いします。

そうですね、新入社員や今の学生の子たちに伝えたいことっていうと、「人生って短い」っていうことかもしれないですね。学生時代ってなかなかそのことに気がつくのは難しいとは思います。自分も学生時代にはそのことに気づけてなかったので。
当然学生は、学校の中の出来事が自分の中の人生の基本の軸になっていると思うので、大人になって初めて気づくことが多いわけですよ。ただ、人生は1回きりだから、その学校の枠内に閉じこもっていたらもったいなくて、世界は広いよっていうことを伝えたいですね。枠内で満足してしまうということは成長が止まってしまうので。もっと自分がしてみたいことにチャレンジして、いろんな経験をしていったらいいかなと思います。

様々なことにチャレンジして、就職後もその経験を活かしてほしいですね。

若い子たちや若い従業員はアイデアをたくさん持っているんですよ。ただ、実際現場を経験している人にそのアイデアを落とし込むと、そのアイデアが消されてしまう場合もあります。なぜかというと、経験を積みすぎて、今の現場ではそのアイデアを実現できるわけがないと、経験者が判断してしまうことがあるんです。先ほど話した経験を積むことの良い部分と、悪い部分ですね。新卒だともちろん経験がないところからスタートするので、0の状態からアイデアを出すことになります。その若い子たちというのは無限のアイデアをたくさん持っているんです。なので、そのアイデアの一つを組織の中に入れたら、組織が大きくなる可能性が大いにあります。現場でうまく汲んでいかないと、アイデアが消されてしまう場合があるので、その若い子たちの意見を受け入れて、次は経験豊富な上司がどうすればそのアイデアを実現できるのか、考えるのが上司の大切な役割ですね。

人って、自分が得意なことをやるじゃないですか。だけど、得意なことをやって成功出来る人って一握りなんですよね。その一握りになれる要素があれば没頭すればいいと思うんですけど、ほとんどの人がそんなプロになるのはなかなか難しい。一握りになれない以上は、いろんなことを経験して、視野を広げていくことが大事だと思うんですよね。
いろんなことをやって、この中で1個でも輝けるものがあったら、それを1つ磨いて、自分の得意な場所を見つけてほしい。そして、得意なことが見つかってそれが仕事となることだったら、没頭してもらいたいですね。
自分が輝ける分野は何なのか、ということを判断するための様々な経験を、出来れば社会に出る前までに出来ると良いですよね。なので、教えたいこととしては社会に出る前にいろんなことをやった方がいいよって伝えたい。なぜかと言うと、学校に通っている時の環境の方が様々なことにチャレンジしやすいからです。社会に出たら、生活環境や経済環境を含めて学生のときとは違う環境になります。だから、できる時に色んなチャレンジをした方がいいよっていうことでしょうかね。

Information

株式会社オーシャンシステム 1963年創業。惣菜とお弁当の配達事業から始まり、食品スーパーや企業向け日配弁当の製造・販売、飲食店の経営と、食にまつわる事業を拡大。創業以来、お客様一人ひとりに「満足と豊かさ」を提供し続けている。
近年は、更に利便性と満足度の向上を目指し、ECサイトの運営や、独自の決済システムなど、新しいビジネスの開発・導入にも積極的に挑戦する。

〒955-0845 新潟県三条市西本成寺二丁目26番57号
TEL:0256-33-3987
URL:https://www.ocean-system.com/


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